イメージの力―国立民族学博物館コレクションにさぐる


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国立新美術館で開催されている「イメージの力―国立民族学博物館コレクションにさぐる」を鑑賞してきました。
「イメージ」というと様々な捉え方がありますが、私個人としては「象徴」もしくは「象徴的思考」だと考えています。
人類が誕生して20万年と言われていますが、その大半のほとんどの歴史、19万年以上において、文字は残っていません。
現在わかっている範囲では、人類が何かをものそのものとしてではなく、イメージとして利用した史跡は約7万5000年前ということです。
イメージは、約6万5000年以上にわたって利用し、人類が研ぎ澄ませてきた根源的な力だと言えるのではないでしょうか。

本展では、人類が長年にわたって生み出してきたイメージをテーマごとに展示しています。

■エントランス:イメージとは何か
会場に入るとまず出てくるのは神像付の椅子、「カワ・トゥギトゥ」。パプアニューギニアのものとのことです。
イメージというものを感覚で理解するにはまさにうってつけといえるでしょう。ポスターの表紙を飾るのも納得です。
おそらく祭事に利用されていたのではないかと思われますが、当時の人々はこの作品を神そのものとして崇拝していたのでしょうか。

 

■仮面
円形の一つの部屋の壁一面に並ぶ、世界中から集められた仮面、仮面。
それぞれの造形は大きく異なりますが、どことなく統一感を感じることが不思議です。
全体を見た後でひとつひとつの仮面を見ていくと、当時の人々がその仮面を通じて描いた本質が、おぼろげに浮かんでくるのです。
インドの仮面は様々な色合いを使い豪奢に、おかめはふくよかな女性像、インドネシアの仮面は野性的な男性像など。

 

■神像
世界各地で造られた神像を展示するコーナーです。人はなぜ神を創ったのか。それが人間と似る形になったのはいつか。
それは人間が世界中に広がっていく過程と決して大きく関係しているのではないでしょうか。

人の数が増え、階層が生まれたからこそ絶対的な存在を創り、集団を統率していった歴史が若干ながら垣間見えるように思います。
同じ二本足ながら、例えばマレーシアであれば狩猟神、インドであれば商売の神と異なっているのは、それぞれの地域で重んじられている価値観が反映されているのでしょう。

 

■色
色は価値観や環境によって大きく捉え方が異なるものですが、人類が感じる根本的なイメージというものは共通しているのではないでしょうか。本展示を見ていくと、それが非常によく伝わります。
世界各国の展示から見られる、華やかな色や金属が放つ輝き。それらは身にまとう人をひとつ特別な存在として認識させたことでしょう。
赤・青・金銀。それらがもたらすイメージは、その土地だけではなく万国に通じるものなのでしょう。

 

■高さ
人はどうして高いものに羨望のまなざしを向けるのか。
ダイナミックな古来の展示は、高さを現世とは異なる世界への入口として考えていたようです。
ここで展示されているものは、主に葬儀や神の儀式で利用されたものばかりで、高さ約3メートル~4メートルもの建造物です。
オーストラリアと日本のものがありましたが、世界にはもっと多くのこういった史跡が残っているでしょう。

 

■現代
翻って現代は情報の流通が飛躍的に増大している時代です。イメージは複製され、大量生産され、そして消費されていきます。
本コーナーでは、世界中で生まれている価値観のミクスチャーにより生まれたイメージを紹介しています。
アフリカで造られたアメリカ車のイメージやバーバー(床屋)のイメージは、人類の社会情勢やニーズによりイメージの質も大きく変容していくことを物語っています。

 

■終わりに
最後に登場するのは私たち日本人にとってある意味身近な「網」や「熊手」が登場します。ただし、それらの「イメージとしての使い方」は大きく異なります。
中央に大きく登場する幅約3~4メートルの網は、網としてではなくその色合いと合わせて何か大きな威圧感を感じるイメージを伝えます。壁に大きく貼り付けられている熊手はやはり大きく牙を向いており、人の行動を監視しているようなイメージを与えます。人によって感じるイメージは様々ですが、そこには非日常と呼べる空間が形作られます。

 

人類が生み出してきた新たなイメージは、常に身近なものを新しい「非日常」視点で捉えなおすことで生まれてきたのではないか。
本展ではそのようなことを伝えたいのではないかと個人的には感じました。

 

またこういったテーマがあれば行きたいなぁ、と思っていたところ、
何と出品元は国立民族学博物館。大阪は万博公園にあるとのこと。京都からは車で約1時間。これは完全に失態でした。
外部に出品中の博物館が一体どのようなレイアウトになっているのかという興味もあるので、近いうちにぜひ行ってみたいと思います。

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