書評:デジタル時代の基礎知識『ブランディング』 「顧客体験」で差がつく時代の新しいルール



デジタル時代の基礎知識『ブランディング』 「顧客体験」で差がつく時代の新しいルール(MarkeZine BOOKS)

「ブランディング」は現在のトレンドワードです。実際にGoogleトレンドで見ると、紆余曲折はありながらもここ1~2年で伸びていることがわかります。

しかし、中小企業向けの具体的なブランド戦略はあまり触れられておらず、どうしても大企業向けの理念やCIが中心となってしまうことが多いようです。私たちが中小企業向けに特化して「ブランド戦略検討会」を行っている理由もここにあります。

今回のこの本は、著者のさまざまな経験がとてもわかりやすくまとめられており、CIや理念の重要性を認めつつも、具体的なブランド戦略の実行と運用に力点を置いている点でとても共感できる内容でした。

とくに中小企業が軽視しがちになってしまう「顧客体験」において、一貫してわかりやすい説明がなされており、これまでのブランディング書籍にはなかった敷居の低さがあります。

「デジタル時代の」とあえてタイトルについている通り、スマホやSNSが発達しているからこそ、中小企業が顧客体験全体を最適化できる時代になりました。ブランド戦略として集中投資の効果も大きく見込むことができます。
この点についても概略ながら具体的にまとめていますので、現在オウンドメディアを運用、もしくは検討している方には参考になります。

また、運用時に注意すべき組織の壁、戦略を中期的に固定化する点など、具体的な課題へもアプローチしています。
実際に関わっている私としてもあらためて気を付けたいポイントです。

1点課題を挙げるとすると、顧客のインサイト(ホンネ)の導き出し方については、この本では具体的に触れられていませんでした。

インサイトの掘り出しは、私も検討会をしている中で非常に課題を感じています。デジタル社会になったからこそ顧客が多様化し、「なぜ自社が選ばれているのか?」顧客が見えなくなっている企業が多くあります。
それらのホンネはネットアンケートなどではなかなか見えません。
最終的には現場に行って毎日のように顧客を見つめ続け、判断することでようやく解決につながることもあります。
具体的な顧客体験を導き出すための、インサイトの掘り出しについては他の書籍を当たった方がよいかと思います。

とはいえ、中小企業向けにここまでわかりやすくブランドの知覚価値や顧客体験に触れている本は稀です。
読みやすさもありますので、企業規模や職務に関わらず、マーケティングに携わる方にはご一読をすすめたい内容です。