書評:まんがでわかるデザイン思考



『まんがでわかるデザイン思考』

「まんがでわかる」シリーズは個人的にはそれ程手に取って読むことはありませんが、今回はたまたま会社にあったので読んでみました。

結論から言えば「自分がまったく知らないことについて、とにかく早く概要を知りたい。でもWikipediaでは活用イメージがわかない。早く活用したい。」というわがままな企業人にまんがはピッタリです。
逆に、多少でも自分で理解しているテーマであれば、まんがであえて読む必要はないかもしれません。

■「デザイン思考」とはなにか
「デザイン思考」とひとくちに言っても、具体的にはどんなことなのかをイメージしにくい方もいるかもしれません。
ひとことで表現すれば、「デザイン思考とは(破壊的)イノベーションを生み出すための発想から具体化のプロセス」ということができます。

それでは、イノベーションとはどういう意味でしょう。
イノベーションは、「新しいアイデアの実施を通じて、これまでにない価値を創造するということ」だと定義できます。

今常識だと思っていることは、過去には常識ではなかったはずです。どこかで誰かが、その常識を新たに作った。それがイノベーションです。

たとえば、ペットボトルのお茶や水。昔は誰も買う人はいませんでした。AppleのiPhoneなどはイノベーションの代表格ですね。それまでスマートフォンの時代が来るといわれながらまったく普及しませんでしたが、iPhoneの登場により一気にスマホシフトが進みました。

デザイン思考は、そんな一部の人でしか起こせないと考えられているイノベーションを起こすための汎用的な発想・具体化法そのものなのです。

 

■デザイン思考のプロセス
デザイン思考のプロセスは、大きく3つあります。

1)着想
・課題を解決するための問題や機会、潜在的ニーズの発見

2)発案
・アイデアを具体的に発案し、実現性を検証する

3)実現
・アイデアをプロトタイピング(試作)し、市場へと導く

デザイン思考にも大きく3種類くらいの流派があるようで、具体的なプロセスはそれぞれ異なるようです。

しかし、全体を貫いている大きな特徴としては「重要なのは技術ではなく、人間に注目し、潜在的なニーズを見つけ満たすこと」という考え方に立脚している点です。

iPhoneは新しい技術ではなく、あくまで既存の技術の組み合わせ。
ペットボトルのお茶や水も、どちらも既存のものですでに市場にあったものでしょう。
「すべての常識をゼロベースで考え、人間が本当に望んでいるものを考えていく」
デザイン思考は人間そのものを探求するプロセスでもあるのです。

■デザイン思考をどう活かす?
それでは、このデザイン思考はどのように仕事や企画に活かしていけばよいのでしょうか?

いちばんわかりやすいのは新商品開発です。既存の市場に対して新しい価値を提供するのですから、考えやすく成果にもつながりやすいと思われます。

もうひとつ、可能性があると考えられるのは、既存事業の見直しです。これはデザイン思考のプロセスでもとても大切な「課題・テーマの設定」によりますが、歴史のある企業ほど、やり方によっては成果があがりそうです。

デザイン思考は、今の世界は必ずもっとよくできるという立場に立脚します。
例え300年続いている事業であってもイノベーションの余地はあるわけです。
私たちのお客様でも、ずっと続いているが毎年同じことをしていて、少しずつ業績が下がっている、そんなケースが多くあります。
そんな業界の常識を破壊し、まったく新しい発想を生み出していくために、デザイン思考は大きな役割を果たすのではないでしょうか。

私たちの会社でもデザイン思考によるワークショップを行った際は、さまざまなイノベーティブなアイデアが出ました。

実際の現場へ行って顧客として製品やサービスを体験し、同じような人々を観察する「オブザベーション」。何気ない人の動作から、多くの気づきを得ることができます。

紙や粘土を使って、すばやく手を動かしながらビジネスを試作する「プロトタイピング」のプロセスは非常に新鮮で楽しいものです。

そんなデザイン思考のプロセスを進めていくと、大切なのはビジネスモデルやシステムだけではなく「楽しい・うれしい・不満だ」といった、人の感情であることにあらためて気づかされるのです。

デザイン思考というプロセスが普及することで、日本全体のビジネスにもよい変化が生まれるよう、期待しています。


顧客とひとりとなって体験しながら人を観察するオブザベーション


手を動かしながらビジネスを設計するプロトタイピング(施策)

私自身、知識も実践もあくまで鳥羽口に立ったばかりですので、これからも「人間の経験をデザインする」デザイン思考の探求を続けていきます。