3.ブランドイメージを上げるための「刺激の設計」

第2回目の前回は、ブランドイメージについてお話をしました。
今回はブランドイメージを上げるためにどうするのか?についてお話したいと思います。

前回、

・ブランドは消費者の「心象」で創られる
・ブランドにはゼロ、プラス、マイナスがある
・ブランドは消費者に対してプラスのイメージで識別される必要がある

というお話をしました。

この中で「プラスのイメージで識別される」というためにやるべきことが「刺激の設計」です。

さて、ここで質問です。

一人で街を歩いている時に「お腹が空いたな」と思った時に、
どのお店を思い出すでしょうか?

あるいは、家族や友人と街を歩いているときに同じように
「お腹が空いたな」と思った時はどうでしょうか?

おそらく、一人の時とそうでない時、思い出すお店は違うはずです。

これは企業側がそれぞれのターゲットに対して異なる「刺激」を設計しているからです。

例えば牛丼チェーンであっても、「吉野家」はどちらかといえばおひとりさま向け、「すき家」は家族向けというイメージがないでしょうか?

私たちは日ごろ消費者としてどのような刺激を受けているのか、考えてみると新しい発見がありますよ。

なお、この「刺激」には2種類あります。

1)ブランド要素
その商品やサービスを象徴するサインのことです。

・ロゴ
・パッケージ
・色
・ジングル(音楽)
・キャラクター
・匂い
・ドメイン

2)ブランド体験
その商品やサービス体験そのもの、あるいはアフターサービスなどのことです。

ブランドをプラスにするには、適切なブランド要素とブランド体験をしっかりと設計しましょう。

<まとめ>
■ブランドをプラスにするには適切な刺激の設計が必要
■刺激にはブランド要素とブランド体験の2種類がある

2.ブランドにも「プラス」と「マイナス」がある

前回、「ブランド」とはどんな状態?」では

1)ブランドとは消費者起点の概念である
2)ブランドとは「識別」である

というお話をしました。

この中でまず意識していただきたいのは、「消費者が識別しない限りはブランドではない」ということです。

「消費者が識別していない状態」のことを「ブランド・ゼロ」と表現します。

私たちはここから消費者へ訴えかけて、ブランドとして識別してもらえるようにしていく必要があります。
識別してもらうということは、認知されるということでもあります。
つまり、消費者の「心象」、心のイメージに対してアプローチをしていく必要があります。

このために私たちがしなければならないのは「刺激の設計」ですが、それについては次回お話をします。

識別をしてもらうための方法はいくつかありますが、ここで質問です。

昨年ニュースをにぎわせた大手広告代理店の過重労働の件は、覚えている方も多いことと思います。
https://www.huffingtonpost.jp/2017/09/22/dentsu_a_23218906/

このニュースを見たとき、あなたはどのように感じたでしょうか?

「やはり広告代理店は厳しいものだ」
「この会社には入りたくない」

など、様々な印象を持たれたと思いますが、総じてこの企業のサービスに否定的なイメージを持たれた方が多いのではないでしょうか。

ブランドとは識別という話をしましたが、この場合、ブランドマイナスとして識別されているという事になります。

反対に、東日本大震災の時に通信会社の社長が個人として100億円を寄付したことは、おおむね好意的に捉えられたのではないかと思います。
(サイト上で使途が公開されています)
https://www.softbank.jp/donations/?page=list_son.html

この状態は、ブランドプラスであるといえます。

つまり、私たち企業は消費者に識別される必要がありますが、あくまでブランド・プラスとして識別される必要があるということです。

最近では炎上マーケティングなど、ネット上で話題になることだけを狙った手法もありますが、ブランドプラス/マイナスの観点から考えると、危険な手法であるといえます。

<まとめ>
■ブランドは消費者の「心象」で創られる
■ブランドにはゼロ、プラス、マイナスがある
■ブランドは消費者に対してプラスのイメージで識別される必要がある

1.「ブランド」とはどんな状態?

私たちは中小企業のブランディングを主な仕事とさせていただいていますが、その際にブランディング、あるいはブランドの定義がお互いで異なることが良くあります。

マーケティングと混同される場合もありますし、デザインのことだと思われる方もいます。
ブランディングは、わかっているようで意外に曖昧な概念ではないでしょうか。

そこで、これから何回かに分けて、私たちが考えるブランディングの概念について説明したいと思います。

第1回「ブランド」とはどんな状態?

さて、「ブランド」といえば何を思い浮かべるでしょうか?

「ルイ・ヴィトン」のような高級ブランドを思い浮かべる人もいると思います。
反面、「ユニクロ」も日本のカジュアルウェアでは立派なブランドだと考える人もいるでしょう。
何となくアパレルブランド全体のイメージもあるかもしれません。

そこで、まずこちらのアドレスを見てみてください。

<会社・企業のロゴ一覧>
https://logostock.jp/corpcatalog/

このロゴの一覧を見て、どの企業やサービスかすぐにわかりますでしょうか。
意外にわかるものは少ないかもしれません。

次にこちらを見てください。

<有名企業ロゴ一覧>
//fanblogs.jp/designtaro/category_1/

有名企業というだけあって知っているロゴが多いのではないでしょうか。

この「わかっている状態」が、「ブランドである」という状態です。

もう少し詳しく表現すると、ブランドであるとは「他と識別されている状態」のことです。

ブランドであるとは「他と識別されている状態」

例えばマクドナルドのロゴを見てそれが分かった場合は、どんなサービスを提供しているか連想できることがほとんどだと思います。

また、後の回でも詳しく述べますが、「お腹が空いた」という時に「マクドナルド」を想起するように識別されているということも、ブランドである
ということができます。

逆に言えば、私たち消費者から見て、ロゴを見ても商品やサービスを見ても想像ができない場合、その企業やサービスは「ブランドではない」あるい
は「ブランド・ゼロ」ということになります。

<まとめ>
■ブランドとは消費者起点の概念である■
■ブランドとは「識別されている状態」である■